研究課題/領域番号 |
18350088
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
吉澤 一成 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (30273486)
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研究分担者 |
塩田 淑仁 九州大学, 先導物質化学研究所, 助手 (70335991)
蒲池 高志 九州大学, 先導物質化学研究所, 特任助手 (40403951)
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キーワード | 量子化学 / 酵素反応 / 生体分子 / 金属酵素 / 分子力学 |
研究概要 |
メタンモノオキシゲナーゼは、鉄2核構造を活性サイトにもつ可溶性メタンモノオキシゲナーゼ(sMMO)および銅を活性サイトにもつ膜結合型メタンモノオキシゲナーゼ(pMMO)に分類される。これまでは取り扱いの容易なsMMOの研究が盛んに行われてきたが、最近pMMOのX線構造解析が行われ、その活性中心には銅単核、銅2核、および亜鉛単核構造が含まれることが明らかとなった。これらの構造は十分に離れて位置しており、これらのいずれかがメタンを直接酸化するものと考えられている。しかし、亜鉛は結晶化処理過程における外因性のものと考えられ、その部位にはもともと鉄あるいは銅が存在するものと考えられているが、今のところその酵素機能に関する情報はほとんど得られていない。そこで、我々はpMMOによるメタンの部分酸化能における銅単核および銅2核サイトの役割を量子化学計算により比較検討することにした。QM/MM法を用いることにより約6000原子からなるプロトマーの量子化学計算を実行し、活性中心のみならずその周辺環境の影響を考慮した理論的研究を行った。その結果、銅単核および銅2核サイトに形成されたオキソ種はメタンを水酸化するのに十分な活性能力を持つが、bis(μ-oxo)Cu_2構造をもつ銅2核錯体の形成は銅単核オキソ錯体の形成に比べてエネルギー的に有利であることが分かった。このことからメタンを活性化するサイトには銅2核構造が存在するのではないかと推測される。メタンを生理的条件下で直接酸化してメタノールに変換する金属酵素である、メタンモノオキシゲナーゼの構造と反応性について密度汎関数法および量子力学と分子力学を組み合わせた、いわゆるQM/MM法を用いた理論的研究を行った。今後は、銅2核構造の反応性について、より詳細な検討を行う。
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