研究課題/領域番号 |
18350090
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
中村 浩之 学習院大学, 理学部, 教授 (30274434)
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研究分担者 |
潘 鉱承 学習院大学, 理学部, 助教 (60433710)
鍋山 航 学習院大学, 理学部, 客員研究員 (90448952)
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キーワード | 蛋白質 / 癌 / 阻害剤 / シグナル伝達 / 内皮細胞増殖因子受容体 / チロシンキナーゼ |
研究概要 |
化合物ライブラリー50万個から、上皮細胞増殖因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼに対するバーチャルスクリーニングを行い、絞り込んだ100個の化合物の中から目視で選び合成したインデノピラゾール誘導体が内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR)チロシンキナーゼに対して高い阻害活性を有することを見出した。VEGFRチロシンキナーゼは、がんの血管新生に関わる重要なチロシンキナーゼであることから、がん分子標的として注目されている。細胞増殖阻害活性も高く、この作用機序は主にサイクリン依存キナーゼ阻害によるものであることが分かった。 また、既に立体構造が報告されているVEGFR2チロシンキナーゼ(KDR)に基づくde Novo分子設計を行い、新しい阻害剤合成を行ったところ、ベンジルアニリン骨格を有する化合物で活性が見られ、中でも0.5μMでチロシンキナーゼを50%阻害する化合物を新規に見出すことに成功した。さらに、低酸素状態で活性化される因子であるHIF-1αに着目しスクリーニングを行ったところ、これらの合成した化合物の中でVEGFR2にはほとんど活性を示さないが、HIF-1αを非常に強く阻害する化合物を見出した。HeLa細胞を用いて細胞レベルでのHIF-1αの発現タンパク量をwestern blotting法で調べて結果、これらの化合物はおよそ7μMでHIF-1αを阻害することが分かり、第1相臨床試験中であるYC-1と同等以上の活性があることがわかった。
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