研究課題
有機トランジスタは、大面積な基板やフレキシブル基板などの上に、印刷のような簡単な方法で作成できる可能性から注目を集めているが、p型では良い材料がたくさんあるのに対して、n型を示す材料が少なく、かつn型有機トランジスタは通常の雰囲気下では不安定な場合が多いことが問題になっている。そこで本研究では、純有機物よりも酸化還元電位の制御しやすい金属錯体(ニッケルジチオラート錯体)用いて、空気に対する安定性を向上させたn型有機トランジスタを作成した。本年度は種々の置換基をもったニッケルジチオラート錯体を合成し、特にフッ素やトリフルオロメチル基をもった錯体において空気中に1ヶ月以上おいても動作する材料を見出した。また電荷移動錯体(TTF)(TCNQ)がn型有機トランジスタの電極材料になることを明らかとした。これに付随して、電荷移動錯体(TTF)(TCNQ)はp型のペンタセンなどの有機薄膜トランジスタの電極材料としても優れており、トランスファーライン法で電極での接触抵抗を見積もったところ、金電極ではトップコンタクトに対してボトムコンタクトは数桁接触抵抗が大きいのに対して、(TTF)(TCNQ)電極ではトップコンタクトとボトムコンタクトの差はほとんどなく、かつ性能は金電極のトップコンタクトとほとんど変わりがなく、(TTF)(TCNQ)電極は特にボトムコンタクト有機トランジスタの電極材料として有用であることが明らかとなった。
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