研究課題/領域番号 |
18350103
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
米屋 勝利 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 特任教授 (30215412)
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研究分担者 |
多々見 純一 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 助教授 (30303085)
脇原 徹 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 助手 (70377109)
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キーワード | 窒化ケイ素 / 焼結体 / カーボンナノチューブ / 導電性 / 粉体プロセス |
研究概要 |
本研究者らは、先にCNT-Si_3N_4-Y_2O_3-Al_2O_3-TiO_2-AlN組成系を出発組成として、導電性と高耐摩耗性を共生させたSi_3N_4セラミックスを開発した。これを高信頼性材料に育成するための最重要課題はCNTを焼結体内に均一分散することである。本年度はCNTを組成系に均一に混合・分散するためのナノ粉体プロセス技術に関する基礎研究と焼結体中のCNTの存在状態を明かにするためのキャラクタリゼーションに特化して研究を行った。特に前者の重要性にかんがみ、当初予定した設備に変えてナノ粉体の混合のための湿式ビーズミルを購入し、他の粉体混合機と合わせて実験の加速化を図った。以下にその結果と成果を述べる。 (1)通常CNT原料は相互に絡み合って毛玉のような凝集体になっている。これを解し液中で均一分散させ、さらに再凝集を防止することを目的として、湿式ビーズミルによるCNTの分散性を調べた。その結果、CNTの液中分散に対してビーズミルを用いるプロセスが極めて有効であり、これによってCNT高濃度均一分散スラリーを得ることができた。 (2)CNT-Si_3N_4系に対する乾式型の粒子複合化装置の適応性について、モデル系としてCNT-アルミナ(粒径0.2μm)系を用いて検討を行った。その結果、CNTはアルミナ粒子の表面に個別に強固に接合しており、これを成形・焼結することによって、緻密で導電性と機械的特性に優れるアルミナ焼結体を作製することができた。 (3)CNTを導入したSi_3N_4焼結体についてConductive AFM(導電率顕微鏡)による局所的な導電率の変化を調べ、導電性に寄与するCNTの割合を検討した。まだ不十分ではあるが、CNTの種類によって分散性が異なるという知見が得られた。 これらのCNTの均一分散プロセスと分散性評価に関する基礎的な知見を踏まえて、次年度はこれらの成果をCNT-Si_3N_4-Y_2O_3-Al_2O_3-TiO_2-AlN組成系に適用することでCNTを均一に分散のための基礎を確立する。
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