研究概要 |
本研究ではマイクロ波加熱法の特性を調査するために、長残光蛍光体であるMg_2SnO_4に着目した。長残光蛍光体Mg_2SnO_4は白色の母体発光を示すことが知られている。そしてそのMg_2SnO_4にMn^<2+>を賦活すると、非常に輝度の高い緑色の発光を示すことが知られている。出発原料にはマイクロ波吸収効率め非常に優れているSnO_2を用いた。 Mg_2SnO_4:Mn^<2+>を、シングルモードマイクロ波加熱装置を用いて合成時間を10,20,30minと変化させ合成することで、マイクロ波加熱法における発光中心(Mn^<2+>)の拡散について調査した。比較用の試料として電気炉でもN_2中1300℃、3hで焼成した。EPMAによりそれぞれの試料について、Mn^<2+>マッピングを行った結果、マイクロ波加熱法で合成した試料は電気炉で合成した試料に比べMn^<2+>の拡散が促進されていた。またマイクロ波加熱において合成時間を長くするとMn^<2+>の拡散がさらに促進されていることが確認された。Mn^<2+>の拡散が促進されることで濃度消光によるエネルギーロスが軽減されるので蛍光強度が大きくなることが確認できた。 また,Mg_2SnO_4:Mn^<2+>の蛍光特性、残光特性の更なる改善を目的として原料中のSnの組成比を本来のSnO_2の化学量論比を100%として、110%、100%、90%の割合で混合した原料混合物を、マイクロ波加熱、電気炉加熱でそれぞれ焼成した。それらの蛍光特性、残光特性を測定し、比較するとマイクロ波加熱で合成したSnO_2110%の試料では電気炉加熱で合成したものに比べ44%の蛍光強度の増加が見られた。またSnO_290%のマイクロ波加熱で合成した試料では従来のマイクロ波加熱法で合成したMg_2SnO_4:Mn_<2+>に比べ残光特性の向上が確認できた。
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