研究概要 |
大きな理論容量ゆえ,次世代のリチウムイオン電池の負極としてSiが注目されている。19年度は前年に引き続き,放電,充電による電気化学的な処理で生成するLi-Si合金生成機構について,その形態,構造等の変化をもとに検討するとともに,昨年見いだしたSi/Cのような複合電極の設計を基に,複合負極の電気化学的な挙動に影響を及ぼす種々の因子について検討し,最適なSi/C複合負極の設計を行った。さらに,ポリマー電解質への展開を図った。 以下得られた知見を示す 1)熱分解炭素と組み合わせたSi/C複合電極作成法はSiの容量劣化を抑えるのに優れた効果を示す。サイズの異なるSi粒子を原料に,多くの熱分解炭素との複合化を行った。それら複合電極についてその電池特性を測定し,Si/C複合負極の特性に影響を与える様々な要因を明らかにした。炭素プレカーサーの組成と,ハロゲンの含有量,熱分解後の炭素の構造など定量的な検討ができた。 2)以上の検討の結果,1)Siの体積変化を小さくする;2)良好なSi分散と良好な電気的な接触;3)導電性でSiの膨張を吸収できる柔らかいマトリックスの実現が,安全性が高い固体ポリマー電解質とのリチウム二次電池実現に重要であり,そのような電極設計が可能となった
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