研究概要 |
本研究では,エネルギー密度に優れるLiイオン二次電池材料に超高速充放電特性を付与して高出力特性を引き出し,かつ充放電の可逆性に優れた高性能電極材料の創製を目指すものである。本年度は,新規にLiMnPO_4ナノ多孔体を合成し,さらにカーボンとのナノ複合化を検討した。またLiMnPO_4系多孔体やナノ多孔グラファイトの充放電特性評価を行った。主な成果を以下に示す 1.既にポリスチレンオパールを鋳型に用いてオリビン型LiFePO_4ナノ多孔体を合成する手法を開発しているが,同手法をLiMnPO_4にも適用し,LiMnPO_4およびLiFePO_4/カーボン複合ナノ多孔体を合成することに成功した。LiFePO_4系と比べてLiMnPO_4系は,充放電容量が小さく,レート特性に劣るものの,ナノ多孔化やカーボンナノ複合化により充放電特性が向上することを見出した。 3.80〜450nmのシリカオパールを鋳型に用いてナノ多孔カーボンを合成した後,さらに高温(1500〜2500℃)で熱処理することにより,種々の細孔サイズを有するグラファイトナノ多孔体を合成した。細孔サイズが大きくなるにつれ,また熱処理温度が高くなるにつれ,グラファイト化が進行し,これに伴い比表面積が減少した。一方,定電流充放電測定においては,高温熱処理したものほどグラファイト相へのLi挿入脱離による0.2V vs. Li/Li^+以下の電位での充放電容量が増加した。また,低比表面積にもかかわらず細孔サイズが多いナノ多孔グラファイトの方が容量およびレート特性に優れることがわかった。
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