研究課題/領域番号 |
18350111
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研究機関 | 桐蔭横浜大学 |
研究代表者 |
宮坂 力 桐蔭横浜大学, 工学研究科, 教授 (00350687)
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研究分担者 |
池上 和志 桐蔭横浜大学, 工学研究科, 助手 (30375414)
白井 靖男 東京工芸大学, 工学部, 教授 (50064275)
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キーワード | 太陽電池 / ナノ材料 / 高分子構造・物性 / 電気化学 / 光電気化学 / 半導体物性 / エネルギー変換 / 炭素材料 |
研究概要 |
電気的整流効果を有する酸化物半導体膜(n-型)、導電性高分子(p-型)、カーボン導電材料を用いて、これら導電固体材料の接合する複合界面を利用した光電変換の可能性について検討した。 電極基板に、透明導電性酸化スズガラス(作用極)と白金蒸着ガラス(対極)、光発電層には、色素によって可視光増感されたナノ多孔質酸化チタン膜に対してポリアニリン複合カーボンブラックが固体接合した構造を用い、この光発電層を両電極基板によってサンドイッチした固体型セルを作製し、可視光照射下の光電変換特性に及ぼす層構成の違いを調べた。酸化チタン多孔膜には、Ruビピリジル錯体色素の単分子吸着による増感を施し、この表面を、スルホン酸ドープ型ポリアニリンを被覆したカーボンブラック粒子の層(100μm以上)によって覆い、対極基板を圧着してセルを作製した。ここでポリアニリンの有無、多孔膜の充填処理の効果を調べ、光電応答を高める可能性を調べた。 1.光電変換の基本特性 色素の光吸収スペクトルに対応する光電流作用スペクトルがすべての素子で得られたが、光電流の外部量子変換効率は10%以下と小さく、ポリアニリンを被覆しないカーボン単独の系はさらに小さく、p-型半導体ポリマーの存在が光電荷分離を促進する(電流を整流する)効果が確認された。 2.電荷移動界面の抵抗因子の解析 交流インピーダンスアナライザー(新規に購入)を用いて、積層構造中の界面の電荷移動の抵抗因子を分析した。多孔膜とポリアニリン被覆カーボン層の界面が高い抵抗を有し、ナノ細孔内にカーボンが充填されない状況が電荷移動の障害となることが判明した。そこで、細孔内部を充填する材料として、KI、LiI、イオン液体等の使用を試みた。 3.イオン液体の細孔内充填による内部抵抗と光電応答の改善 細孔内にイオン伝導体としてヨウ化イミダゾリウムポリエチレンオキシ誘導体を充填した固体セルでは、上記の界面抵抗が低減され、光電変換の基本特性が良化した。上記カーボンブラックを用いる固体セルの光電流外部量子効率は50%以上に高まり、エネルギー変換効率として4%以上(対太陽光照射)を得ることに成功した。
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