(1)マルチレーヤー電解質による超階層化リン酸系電解質膜であるポリボスマーと炭化水素系電解質膜であるスルホン化ポリフェニレン誘導体を里いてマルチレーヤー電解質による超階層化を試みた。炭化水素系電解質(A層)が高い保水性とフロトン伝導性を担い、リン酸系電解質膜(B層)がメタノール透過性を抑制する効果があると考え、多層化を種々(キャスト法、圧着法)の方法で行った。B-A-B、A-B、B-A層からなる超階層膜を作成した結果、カソード側にB層を持つA-B層からなる超階層膜が、最も高い直接メタノール形燃料電池発電特性を有することが明らかになった。これは、リン酸系電解質膜層が単なるメタノールバリアー層として働くのではなく、カソードの含水状態も制御することが可能であることを示唆している。 (2)超階層界面制御による超階層化超階層膜の界面制御または単独での超階層構造化のために、異種成分からなるブロック共重合体の合成を試みた。合成したジブロックまたはマルチブロック共重合体は、単独で明瞭な相分離構造を有することが分かり、超階層界面制御の相溶化剤として期待できることが分かった。さらに、これらの相分離構造を加湿下によるAFM測定で評価した。また、トポグラフィーと同時に、電流検出を行って画像解析からプロトン伝導経路の可視化を検討した。その結果、相分離構造に対応したフロトン伝導経路がドメイン状に連なった構造が確認された。
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