研究課題/領域番号 |
18360007
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
干川 圭吾 信州大学, 教育学部, 教授 (10231573)
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研究分担者 |
太子 敏則 東北大学, 金属材料研究所, 研究員 (90397307)
深海 龍夫 信州大学, 工学部, 教授 (90021005)
番場 教子 信州大学, 工学部, 助教授 (90303445)
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キーワード | KN単結晶 / LN単結晶 / 垂直ブリッジマン(VB)法 / SAWWフィルタ / X線トポグラフ / UWB無線システム / リネージ / 小傾角境界 |
研究概要 |
本研究では、将来のUWB無線システム用SAWフィルタ材料としての応用を想定し、高電気-機械結合係数圧電材料であるニオブ酸カリウム(KN)単結晶成長技術の確立と特性評価・高品質化を目的として2年計画で研究を進めている。今年度は新規な試みである垂直ブリッジマン(VB)法による単結晶育成技術の確立に重点をおき、結晶成長に関する物性値や特徴が既知で従来の引き上げ法による実績のあるニオブ酸リシュウム(LN)の単結晶と対比させながら研究を進めた。今年度得た成果と知見は以下である。 (1)LNおよびKN原料作製に関して、素原料粉末の秤量・混合・成形・仮焼等の各工程を検討し、再現性の良い多結晶原料作製技術を確立した。特にKN単結晶用原料に関しては、吸湿性の高い炭酸カリュウムの扱いに関する多くの知見と貴重なノウハウを取得し、KN結晶育成で特に重要な精密組成制御を可能にした。 (2)LN単結晶育成に関しては、大形VB炉のホットゾーンの構築と最適温度分布実現、LNの融点1230℃の決定、再現性の高い種子付け条件の確定等を行い、直径2インチ単結晶育成技術を確立した。 (3)KN単結晶育成に関しては、(2)のLN単結晶育成で確立した基本技術に加えて最適なKN融液組成の決定、使用する白金るつぼの形状と寸法精度、種子結晶の形状と加工方法の最適化等を実現し、直径1インチ単結晶育成に成功した。 (4)上記(2)、(3)で育成した単結晶の結晶性については、主にX線トポグラフ評価を行った。その結果、LN単結晶に関しては従来の引き上げ法単結晶を越える均質性が実現されていることが確認された。一方、KN単結晶に関しては、従来唯一の成長方法であった種子を用いた溶液からの結晶成長方法(TSSG法)結晶に比較して、リネージや小傾角境界を多く含むことが判明し、結晶性改善に関しては次年度以降の研究課題とした。
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