研究課題/領域番号 |
18360011
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用物性・結晶工学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
筒井 哲夫 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (40037982)
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研究分担者 |
藤田 克彦 九州大学, 先導物質化学研究所, 准教授 (20281644)
片平 賀子 九州大学, 総合理工学研究院, 助教 (90315143)
安田 剛 九州大学, 先導物質化学研究所, 助教 (30380710)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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キーワード | 有機半導体 / 太陽電池 / 偏光検出 / フタロシアニン / ペリレン誘導体 / 光電変換素子 |
研究概要 |
平成18年度は素子背面に置かれた白黒検出が可能な高性能透明有機フォトディテクターの開発に成功した。開発したデバイスは基本的に1986年にC.W.Tangが報告したp型銅フタロシアニン(CuPc)、n型ペリレン誘導体(PTCBI)積層型のデバイス構造であるが、随所に改良を加えている。まずはPTCBI薄膜をラビングし、その上に同じ材料を低速蒸着することで一軸配向した薄膜の作製に成功した。さらにCuPcとPTCBIは吸収領域が500-800nmで重なるため、CuPcより長波長側に吸収領域を有する材料の探索を行った。その結果、フタロシアニンの中心金属を変化させたTiOPcが長波長側に吸収を有しており、光電変換効率を損なうことなくデバイスを作製することが可能であった。また電荷取り出し電極/有機半導体にバッファー層の導入も行った。具体的にはITO/PTCBI界面に極薄ln金属、TioPc/Au界面にはPEDOT:PSSを挿入することで、高効率の偏光検出型光電変換素子の作製に成功し、当初の研究目的はほぼ達成された。 平成19度はこれまでに得られた知見、作製技術を元に更なる特性向上とデバイス作製の簡便化に挑んだ。具体的には透明有機フォトディテクターを簡易なプロセスである塗布法で作製可能にするため、可溶性のフラーレン誘導体(n型)、可溶性のπ共役ポリマー(p型)の混合膜であるバルクヘテロ型光電変換素子の作製に取り組んだ。成果としては典型的な可溶性フラーレン誘導体のPCBMよりも、溶解性の高い材料の合成に成功しMEH-PPVとの混合膜で変換効率0.47%を達成した。また、他の成果としては、PCBMとMEH-PPVの混合膜にフラーレンを10nm挿入した場合に変換効率2.52%から2.82%にまで向上した。フラーレン薄膜を活性層と陰極間に挟むことによる効率の向上は、フラーレン層が光学的スペーサーあるいはエキシトンブロック層として機能したことによると考えられる。
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