研究課題/領域番号 |
18360014
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
長谷川 達生 独立行政法人産業技術総合研究所, 強相関電子技術研究センター, 研究チーム長 (00242016)
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研究分担者 |
山田 寿一 独立行政法人産業技術総合研究所, 強相関電子技術研究センター, 主任研究員 (20358261)
中村 貴義 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (60270790)
齋藤 軍治 京都大学, 理学研究科, 教授 (40132724)
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キーワード | 有機トランジスタ / 分子性導体 / 電子デバイス・機器 / 表面・界面物性 / インクジェット印刷 / 電極界面 |
研究概要 |
本研究では、共役パイ電子を持った二種の有機分子の複合体が織り成す「分子間電荷移動」を利用する独自のアプローチによって、有機トランジスタの高度化・実用化に不可欠となる有機半導体の機能性界面形成技術の開発と、これを活用した高性能要素材料の探索・開発を行うことを目的とする。本年度は特に、有機.トランジスタを高度化するための基本的な課題のひとつである、高い移動度と加工性に優れたチャネル半導体材料の開発に成功した。われわれは分子性導体の構成要素として知られるテトラチアフルバレン(TTF)系分子材料であるヘキサメチレンテトラチアフルバレン(HMTTF)をチャネル半導体として用いた単結晶FETにおいて、気相成長させた単結晶、及び溶液内の再結晶により得られた単結晶いずれの場合においても、10cm^2/Vsを超える高い移動度を示すことを見出した。またこの良好な素子特性を得る上で、TTF-TCNQ薄膜を用いてソース・ドレイン電極におけるキャリヤ注入効率を最適化することが本質的に重要なことが分かった。さらに単結晶構造解析の結果から、これらの良好な特性が、硫黄原子に由来した分子間の横つながり方向の強い相互作用に由来することを明らかにした。HMTTFは、ペンタセンなどと比べ溶解性が高く、インク化することも可能であることから、プリンタブルエレクトロニクスへの応用が期待される。以上の結果を踏まえ、基盤研究の2年間にわたって得られた成果、すわなち(1)有機半導体薄膜の界面エンジニアリングとドーピング制御、(2)分子性導体薄膜のインクジェット印刷、(3)テトラチアフルバレン系高移動度チャネル材料の開発に関する研究成果を総括し、総合的な議論を行った。
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