研究課題
18年度はナノ界面でのショットキーバリアに関して新しい概念を創成することに成功した。(1)界面におけるショットキーバリア高さはこれまで界面を構成する2種類の物質間に生じる界面電気二重層によって決定されると考えられていた。ところが、MOS半導体デバイスのように、金属/絶縁体/半導体のような3種類の物質が積層構造を作っており、中間に存在する絶縁体の膜厚がナノスケールになってくると、上記の常識が破綻することを理論的に示した。MOS構造を構成する絶縁体は左右両側に2つの界面を有するが、右側の界面で酸化反応がおこり、酸化空孔が生じ、比較的高い位置に酸素空孔準位が存在すると、左側の金属のフェルミレベルが低いときには、酸素空孔準位に存在する電子は左側の金属に流れ込む。このように右界面でおこる酸化反応が、左界面のショットキーバリア高さを支配することがナノスケールの界面では容易に起こりうるという新概念を提案した。本研究結果は、Hf系絶縁膜上の金属ゲートにおいて観測されているフェルミレベルピニングの物理的起源と考えられ、ナノデバイス応用にも極めて有用な知見である。(2)金属・半導体(絶縁体)界面でのショットキー障壁は、金属の仕事関数と半導体(絶縁体)の電子親和力の差で第一義的に与えられ、そこに界面での電気的二重層の効果が現れる、と考えられてきた。しかし最近の金属/高誘電率絶縁膜/SiのMOS構造においては、従来の考え方では説明できない障壁が観測されている。これは高絶縁率膜HfO_2と金属の間の、それぞれの原子間の選択的な軌道混成を考えると見事に説明できることを示し、「一般化された電荷中性点」という新しい概念の創成に成功した。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (11件)
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