研究概要 |
昨年度試料冷却機能の増設改造を行ったSpin-FEM装置を用いて,CVD法で直接合成した多層カーボンナノチューブ(CNT)および,フェルミ面上での電子スピンが理論的に100%偏極しているハーフメタルCo_2MnSi薄膜をスパッタ堆積したタングステン電界放射陰極からの電子のスピン分析を行った。その結果,CNTでは,期待されるスピン偏極が観測されなかった。これはCVD成長したCNTの結晶性が悪いためバリスティックな伝導距離が短く,注入された電子スピンが保存されるコヒーレント長が著しく短いためと思われる。Co_2MnSi薄膜では試料に依るが自発分極磁化について試料に依り10-46%の偏極度が室温で観測され,また,600-800Kの試料アニールとその後の強制磁化により,分極度の更なる向上が観測された。
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