研究課題/領域番号 |
18360027
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
植松 真司 慶應義塾大学, 大学院理工学研究科, 教授 (60393758)
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研究分担者 |
影島 博之 日本電信電話株式会社, NTT物性科学基礎研究所 量子電子物性研究部, 主任研究員 (70374072)
渡邉 孝信 早稲田大学, 理工学術院, 助教授 (00367153)
白石 賢二 筑波大学, 数理物質化学研究科, 助教授 (20334039)
伊藤 公平 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (30276414)
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キーワード | 表面・界面物性 / マイクロ・ナのデバイス / 計算物理 / シリコン酸窒化 / 自己拡散 |
研究概要 |
1.SiO拡散実験 シリコン酸化膜の粘性を制御するSiO拡散について、酸素自己拡散の実験を行った。Si基板を^<18>O_2で酸化して得られたSi^<18>O_2(40nm)/Si試料をさらに^<18>O_2で酸化し、^<16>O_2酸化後の^<18>O拡散プロファイルを調べた。その結果、顕著な^<18>O拡散、すなわち、新たに生成したSi^<16>O_2中への促進拡散が観測された。この酸素自己拡散について、Si自己拡散と同様にSiO_2/Si界面から放出されたSiOにより酸素拡散が促進されるとするモデルをたて、このモデルに基づいた拡散シミュレーションを行なった。 2.酸化膜中拡散経路の理論計算 Siナノ構造酸化の制御のためには、酸化膜中のSi原子輸送現象の微視的機構を解明する必要がある。歪んだSi酸化膜/Si界面が、SiO拡散の助けを借りてどのように変形するのか、その原子構造変化の過程を第一原理計算で明らかにした。SiOによる2配位Si構造の形成が酸化膜の変形に寄与していることを発見し、添加窒素との関係が重要であることを見出した。また、酸化膜中の0拡散において、酸化膜のアモルファス性に起因する微視的な空洞の存在が一義的に重要であることを第一原理計算の結果に基づき見出し、添加窒素の酸化膜中の拡散を考える場合に勘案すべきであることを明らかにした。 3.古典分子動力学法によるシリコン酸化膜中の拡散現象 シリコン熱酸化を促す主要な拡散種である0_2分子の拡散経路を、古典分子動力学法を用いて調査した。結晶性SiO_2の格子間のある安定サイトから隣接サイトへ移動する際の活性化障壁を計算したところ、圧縮ストレスにより拡散障壁が期待通り上昇する様子が再現された。しかし、界面反応の障壁を加えても、実験値には程遠いことから、仮定したSiO_2モデルには含まれない、より安定な格子間サイトがアモルファスSiO_2中に存在する可能性が示唆された。
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