研究概要 |
高強度レーザーにより高圧アルゴンガス中に生成されるプラズマの自己チャネリングについて新たな知見を得た.集光強度10^<15>Wcm^<-2>においてアルゴン圧力が8気圧を超えるあたりからプラズマ発生が不安定になり,複数のプラズマから成るプラズマチャネリングが観測された.10気圧を超えるとこのチャネリングは安定に生成されることがわかった.チャネリングにより伸展したプラズマ長とアルゴンエキシマ遷移(波長126nm)の利得長積には相関があり,チャネリングが発生していないプラズマ状態では利得長積は5程度であったものが,チャネリングの発生により利得長積は6まで増大した.これは約500倍の増幅に相当する.このチャネリングについて光線追跡によりプラズマ中での自己収束をシミュレートすることにより複数プラズマの生成を再現できることが分かった.これにより高強度レーザーによる非線形現象により短焦点のプラズマレンズが光路上に生成されていることがわかった.並行してプラズマ長が伸展した場合の共振器設計を行い,発振実験を試みた.共振器鏡の曲率等は固定であることから変化するプラズマ長の利得媒質にすべて対応することは困難であることがわかった.これについては今後の検討課題としたい.この増幅器により増幅される超短パルス真空紫外光発生についても研究を進め,希ガス中での波長変換により波長126nmの超短パルスシード光の発生を観測した.その発生物理については低次の非線形光学で説明できることがわかり,その出力は媒質の電離により制限されることがわかった.これらの知見をもとに超短パルスシード光の出力の最適化を行った.
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