シリコン原子波で原子波ホログラフィーが実現できれば、同位体シリコン原子を実像として空間的に配列できる技術に繋がる。本研究ではシリコン原子波の原子波ホログラフィー技術を開発する上で極めて重要なシリコン原子波の位相制御の基盤技術の開発を目標とした。平成20年度は、シリコン原子波の位相制御技術の開発に必要な、位相制御の対象になる低速シリコン原子ビーム源開発を行なうとともに、その位相制御用の単一周波数、高輝度ナノ秒深紫外コヒーレント光源の周波数走査技術、周波数微調技術を開発研究を行った。シリコン原子波の位相制御を行なうためには、低速シリコン原子ビーム源が必要である。加速電圧を下げることでシリコンロッド表面の電子ビーム蒸発により低速なシリコン原子ビームを発生させる、低速シリコン原子ビーム源を開発した。次に、単一周波数、高輝度ナノ秒深紫外コヒーレント光源の周波数走査技術の開発を行なった。ナノ秒チタンサファイヤレーザーの共振器に常にシード光の縦モード整合と横モード整合をとり、周波数を安定に走査できる技術を開発し、周波数安定化した単一周波数近赤外光を非線形結晶で波長変換させることにより、シリコン原子共鳴吸収付近で微調できる、単一周波数ナノ秒深紫外コヒーレント光源を開発した。さらに位相変調器による単一周波数、高輝度ナノ秒深紫外コヒーレント光源の周波数微調技術の開発を行なった。構成は特性の揃った非線形結晶であるβバリウムボレート結晶を4つ用い、深紫外領域の位相変調器を開発した。この位相変調器を周波数シフターとして用いて、シリコン原子共鳴吸収付近で微調できる、単一周波数ナノ秒深紫外コヒーレント光源を開発した。
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