研究概要 |
まず、既存のゾーンプレート(直径155μm,最外輪帯幅100nm)を2枚用いてSPring-8 BL20XUにてX線干渉顕微鏡を設計・製作し実験を行った。1枚目ゾーンプレートの1次光と2枚目のゾーンプレートの-1次光を重ねることにより、エネルギー10keVのX線で干渉像を作成した。石英板を用いた位相シフターでフリンジスキャンを行い、視野およそ50μm,分解能約0.3μmの位相再構成像を得ることに成功した。また、90投影/180度の位相再構成像から直径2.8μmのポリスチレン球や人工ダイヤモンドの3次元位相再構成に成功した。 次に、より高分解能化、広視野化を図るため、直径330μm,最外輪帯幅50nmのゾーンプレートを2枚作成した。このゾーンプレートを用いたX線干渉顕微鏡を作成し、SPring-8 BL20XUにてエネルギー8keVのX線で実験を行った。これによって視野をおよそ100〜150μmまで拡大することができた。しかし分解能は0.3μm程度となり、ゾーンプレート自体の理論分解能60nmと比較して悪い値に留まった。これは、拡大倍率が約50倍と低いため検出器として用いた蛍光板の分解能が影響しているものと考えられる。 このX線干渉顕微鏡を用いて位相トモグラフィー実験を行い、植物の胞子や毛根等の3次元位相再構成に成功した。これまでの研究で、直径200μm,長さ100μm程度までの乾燥した試料であればフリンジスキャンによる位相再構成によってサブミクロンの空間分解能で位相再構成ができる光学系を完成することができた。
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