研究概要 |
今年度はこれまでに開発したSPring-8 BL20XUにおけるX線干渉顕微鏡の生物試料、特に軟骨組織のイメージングを目的に実験を行った。ウシの自然軟骨、試験管内培養、ヌードマウス皮下培養試料において、それぞれ凍結乾燥した試料、冷却窒素ガスにより凍結した試料の8keV X線による3次元位相トモグラフイー像を得ることが出来た。凍結試料については位相変化が大きいため、現時点では位相の2π周期のギャップを補正するアンラップが十分に機能していないが、その内部構造をサブミクロン分解能で再構成することが出来、このような再生医療分野などの細胞集合体における観察への有用性を示すことができた。 また、Photon Factory BL3Cで開発中のX線位相差顕微鏡においてもそれらの凍結乾燥試料を観察し、5keV X線による3次元位相コントラストトモグラフイー像を得ることに成功した。位相差顕微鏡では正確な位相再構成はできないが、位相によるエッジコントラストの付いた再構成像を得ることが出来た。また、同じビームラインでX線微分干渉顕微鏡のテストを行い、微分干渉像を得ることに成功した。 なお、平成20年度初旬までの結果はJournal of Physics: Conference Series, International Conference on X-ray Microscope(査読あり、in press)で公表される予定である。
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