研究概要 |
液体窒素温度で動作する高温超伝導ビスマス系(Bi-2212)固有ジョセフソントンネル接合を用いた高信頼性・高感度なdc-SQUIDが開発されれば社会的なインパクトは大きいが、その研究は緒についたばかりである。本研究課題の目的は,(1)申請者が開発した"Self-planarizing process(自己平坦化法)"を応用してdc-SQUID素子作製プロセスを確立すること、(2)作製した素子の磁場応答特性,低周波ノイズの評価、(3)生体磁気センサヘの応用の可能性を検討すること,である。 平成18年度はdc-SQUID作製プロセス条件を最適化するための研究を行った。我々が開発したBi-2212単結晶を希塩酸に浸漬させて絶縁体へ改質する方法(self-planarizing process)をSQUID作製プロセスに適用し、Bi-2212結晶を両面から改質した結果、SQUIDホール部となる黒色のBi-2212結晶を透明な絶縁体にすることができた。この条件を最適化し、良好な形状のデバイスを作製できた。このデバイス作製工程には、18年度に購入した(株)ハイロックス社制ディジタルマイクロスコープ(KH3000VD)を用いた。この装置は対物レンズと試料との作業距離(working diatance)が数cmとれるため、表面観察しながらの結晶壁開が容易にできた。またSQUIDホール部となる黒色のBi-2212結晶が透明になった瞬間のモニターが容易であり、作業に極めて有用であった。18年度の成果は、シアトルで開催された超伝導国際会議(ASC'07)にて2件の発表を行い、また11月開催のISS'07で1件の発表を行った。19年度は、さらにプロセスを最適化し、その動作特性の評価・解析を行う予定である。
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