研究概要 |
液体窒素温度で動作する高温超伝導ビスマス系(Bi-2212)固有ジョセフソントンネル接合を用いた高信頼性・高感度なdc-SQUIDが開発されれば社会的なインパクトは大きいが、その研究は緒についたばかりである。本研究課題の目的は,(1)申請者が開発した"希塩酸処理プロセス(acid-treatment process)"を応用してBi-2212固有接合SQUID素子作製プロセスを確立すること、(2)作製した素子の磁場応答特性,低周波ノイズの評価、(3)生体磁気センサへの応用の可能性を検討すること,である。平成19年度は、18年度に続いてdc-SQUID作製プロセス条件の最適化を図るとともに、試作したBi-2212固有接合SQUIDの磁場依存性を測定・評価した。我々が開発した希塩酸処理プロセスによるSQUIDは液体窒素温度(77K)でも変調特性が観測されたが、臨界電流値がまだ少し大きいために、その磁場変調深さが浅い。今後、プロセス条件を改善し、77K動作SQUIDの特性改善を図る予定である。本SQUIDの作製には、18年度に購入した(株)ハイロックス社制ディジタルマイクロスコープ(KH3000VD),ならびに19年度購入のマスクアライナー(ミカサ社)が非常に有効に働いている。得られた成果の一部は、現在、2編の論文投稿中で、2編の論文を執筆中である。
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