研究概要 |
本研究では、1x10^<-9>の程度の分解能で5インチの径のFZシリコン結晶に対する格子面間隔と格子面傾きをマッピング測定し,それによって,結晶格子の均一性,結晶表面の平坦性および加工ひずみを評価する手法を確立することを目指している。 具体的な測定手法は,放射光X線の強度と指向性および波長選択性を生かし,結晶内の等価な指数面の同時反射を活用し,自己参照型格子コンパレータ法で高速かつ高精度に,大面積の結晶に対してマッピング測定を行うものである。2万点/日の測定速度を有する超高分解能計測システムを構築し,大きなシリコン結晶の格子面間隔と格子面傾きを1x10^<-9>分解能で評価し,シリコン単結晶格子に対してわずかな不純物の影響(10^<12>個/cm^3)を解明し,より高いレベルで結晶の完全性を評価し,アボガドロ定数の精密測定に寄与するものである。 この実験手法を実現させるための超精密ゴニオメータを今年度に設計,製作し,性能テストを行った。この装置は,高さ455mm,幅360mmのもので,サンプルホルダーを含んだ奥行きは約500mmで,重さの合計は150キロとなる。回転機構は2段階となっており,初段の粗動は全周回転でき,分解能は0.0001度となっており,回転エンコーダを装備している。2段目の微小回転は160秒(0.045度)の範囲で回転ができ,分解能は0.0002秒が実現できている。 そのほか,サンプルスキャンするためのステージXZがあり,X方向に300mmの移動範囲とZ方向に200mmの移動範囲がある。現在微小回転をモニターするためのミラーサイズの制限のため,測定範囲は150mm四方となっている。
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