研究概要 |
(1)正方形ダクト内流れにおける定常進行波解を、内部発熱を伴う流体運動の分岐解析の結果得られた非線形解をパラメータ空間における特定の経路を辿ることで等温状態における解へと接続することにより求めた。この解が最初に現れるレイノルズ数は、乱流の自己維持機構(self-sustaining process)に基づいて近年得られた解(Wedin, Bottaro & Nagata, 2009)に比べ大幅に小さく、この非線形解の安定性を解析した結果、この解は出現した直後から不安定であることが示された。さらに、この解は鏡像対称性を有するが、鏡像対称性を破る非線形解への分岐が見られた。この研究の成果は2009年11月にギリシャで開催された第4回Symposium on Global Flow Instability and Controlで発表された。 (2)軸方向に速度差を持つ同軸2重円筒間内の流れはスライディング・クエット流として知られ、Gittler (1993)による線形安定性解析より、この流れは半径比が0.1415より大きい場合に安定となることがわかっている。この流れの非線形解析を行い、半径比が0.1415より小さい場合に存在する線形臨界点から分岐する軸対称進行波解を求めた。また、この流れが狭間隙極限において平面クエット流に一致する事実に基づき、平面クエット流における3次元定常非線形解(Nagata, 1990)を広間隙の場合に接続することで、非軸対称進行波解が、半径比が0.1415より大きい臨界レイノルズ数が有限値として不在の場合にも存在することを示した。この研究の成果は2009年9月にドイツで開催された第12回欧州乱流学会で発表された。
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