研究概要 |
1) これまでの研究で開発し,検証してきた分子動力学法(MD法)によってナノ流動を解析するためのプログラムを用いて,燃料電池触媒層を想定したメソ~ミクロ多孔体内の流動解析を行った.解析は2次元および3次元多孔体モデルを対象に高~中Knudsen数流れを解析し,メソ~ミクロ多孔体内流動の特性を明らかにするとともに格子ボルツマン方程式の検証データベースを構築した. 2) 高~中Knudsen数流れに対応した格子ボルツマン法(μFlow LBM+D2Q21/D3Q39)を用い,前述のMD法によるデータと比較することでそのナノ流動場での実用性と限界点を確認した.MD法と連成させる手法については,パラメータ授受型を検討した.そこではMD法による物性パラメータの見積もり法の中で特に困難である粘性係数の見積もり方に水力学的で用いられる相似関係の考えがナノ流動系に導入可能であるかを考察した. 3) 乱流熱格子ボルツマン法では,LBM-LESモデル用に支配方程式の解析的積分法による境界面モデルを組み込む手法について検討を行い,その妥当性の検証を行った.また,この計算コードを用いて多孔体内熱流動解析を実施し,熱物質輸送に理想的な多孔体構造の議論を行った.このマクロスケールのLBMとμFlow LBMとの連成が可能なようにマクロLBMと同じ速度モデル(D2Q9またはD3Q19)をシームレスに使えるμFlow LBMの構成を検討した. 4) 多孔体性状解析実験に関しては,現在まだ論文公表には至らない進捗状況ではあるが,水ポロシメーターの試行実験から得られた知見をとりまとめ,論文公表のプロセスを進めている.
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