研究概要 |
臨床の場で確実な外科的処置を可能とする上でモデルサージェリーの利用は有効であるが、石膏モデルではコスト(保険適用外)と臨床医による検討時の加工・細工が一度しかできない点やモデルの形状精度が低い等、極めて問題があることを「大腿骨頭すべり症」の2例から明示した。そこで、本研究では、RP(Rapid Prototyping)技術に基づく光造形の問題点であるモデルの造形精度が製造プロセスを僅かに工夫するだけで、十分な精度(Max:2.56mm, Mean:1.04mm)となることを明示した後、これまでに下顎骨延長術や助軟骨移植術を受けながら、超難度の矯正術を要するために良い結果を得ていない17歳男性患者(診断名:第1・第2鰓弓症候群(Hemifacial maicrosomia))に本研究方法を適用した。若い患者であることから、手術の主な目的は顔貌の改善と回復までの矯正プロセス最適化であり、治療方針として、上顎でLeFort I骨切りした後左方へ移動して固定、下顎においては下顎右側で下顎枝矢状分割術、左側は額角部で骨切り後骨延長装置の利用を考慮した。骨切り位置、骨延長方向とその距離、インプラント固定位置の実施が極めてスムーズに行え、RP技術の高い有効性を確認した。他方、骨粗鬆症患者への骨脆弱性に基づく生活レベル提示は医師にとって念願の課題であることから、非侵襲的に骨構造の強度評価を行うことが可能な骨強度評価システムを構築し,光硬化樹脂モデルによる強度評価の有用性を提示した。同時に薬剤摂取法,薬物投与期間,投与量が骨微細構造の経時変化,強度に及ぼす影響をinvivoで評価することは動物実験でも困難であるが、μ-CT撮像による骨構造をRP技術に基づく光造形により再現して強度試験を行えば、理想的なデジタルメディスンの構築に大きく貢献出来ることも示した。
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