研究概要 |
実世界の存在物と仮想世界の存在物とが相互に連関し,ある種の双対性を実現した複素生産空間の概念の定式化と,それに基づくシステム開発を実施した.複素生産空間の概念的な図式として,実世界面と仮想世界基準面からなる抽象的な空間を考え,世界に対する記述が時間の進行とともに意味が推移していくことを示した. システムの開発に関しては,実-仮想の表現実体が混在する作業環境において,それらを同一の指示デバイスを用いて指示することができるユニバーサルポインティングシステムの開発を行った.また,発話による直示表現による作業環境中の対象物指示と音声認識とテキスト処理を用いた発話記録システムを開発することで,作業環境において,指示対象と発話内容を連携させた形での技術情報の蓄積および取り出し可能とした.また,3次元の対象物に対する情報の付与と参照を直感的に行うためのデバイスとして拡張現実感を使用した3次元ユーザインタフェースを開発し,サイバーアノテーション環境の構築とその有効性を検証した. また,サイバーフィールドのモデリングに関しては仮想環境中で生産の業務を行う仮想作業者の開発,実環境に対する3次元計測データからCAD等で形状定義された対象物を認識する手法の開発,時間変化をする3次元世界を4次元の形状としてモデリングする4次元メッシュモデリングシステムなどを開発し,複素生産空間を実現するための基盤を整備した. 以上の研究成果により,複素生産空間の概念提示からそれを実現する際に必要となる主要な技術の開発を行うことができた.今後は実生産の支援を行うための手法とシステムの拡張整備が課題となる.
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