研究概要 |
平成20年度は, 以下に列挙するような特徴抽出技術について研究を行った. (1) 複雑な曲面を多数有する金型において, 工具が入らないなどの理由で加工が困難となる形状の自動抽出プログラムを開発した. 本プログラムでは, 昨年度開発したミンコウスキ変換に基づく技術と, 多面体の高速な衝突判定に基づく技術を併用することで, 高速・高精度な抽出を実現した. (2) 従来用いてきたデクセルによる形状表現では, 高精度な表現や計算が困難な部分が生じることから, データ構造を3方向デクセルに置き換える作業を行つた. 3方向デクセルは従来から知られている手法だが, GPUを用いた高速な計算法を新たに開発し, また3方向デクセルとポリゴンモデルの双方向の変換技術も実現した. (3) 加工困難形状の抽出技術を発展させ, 加工困難を解消するために製品に加えるべき修正範囲を自動的に提示するアルゴリズムを開発した. 本アルゴリズムを用いることで, 設計者は効率的に設計修正を行うことができる. (4) 金型加工では, 加工中に工具に作用する負荷が急激に増加し, 工具が破損する問題がしばしば発生する. この問題を解消するために, 工作物中の工具負荷が上昇しやすい部分を自動抽出するアルゴリズムを開発した. 抽出された部分に適切な前加工を施すことで, その後の加工での負荷上昇を抑制し加工を安全に行うことができる. 開発したアルゴリズムやプログラムは積極的に企業に提供し, 実務での性能評価を行った. 具体的には(1)〜(3)については自動車メーカで, (4)についてはAV機器メーカでテスト利用を行い, 一部については既に改善すべき項目が寄せられている.
|