研究概要 |
本研究では,軸受や工作機械テーブルなどにおける摩擦・摩耗特性の高性能化をはかるために,摺動面にマイクロパターンを施す新しいレーザ加工法の確立を目指している.そこで,シリンダー状のマイクロレンズを適切に配置したレーザ加工用のマスクを成形し,マスクを通してレーザ光を集光する方法により摺動面にマイクロパターンを転写している.本年度は研究計画に基づいて以下に示す項目について研究を行った. (1)摺動面の微細加工:昨年度の研究で製作したマイクロレンズアレイを用いて,摺動面となる鋼材表面の微細加工を行った.形状の異なるレンズアレイを製作するとともに,レーザの照射条件を変化させることで,微細加工を行った.また,形状精度が高く,深さの深い溝を加工する方法についても検討した. (2)摺動面の特性評価:摩擦摩耗試験機を製作し,摺動面の摩擦摩耗特性を評価した.その結果,マイクロパターンを施した摺動面の摩擦係数は最大で数10%も低下することがわかり,マイクロパターンの効果が極めて大きいことがわかった.また,摩擦特性には溝の深さや配列が大きく影響を及ぼすと考えられ,平成20年度は,溝の配置やその形状について検討し,さらに摩擦特性を向上させることを目指している. (3)今年度は空気軸受けを研究対象としたが,平成20年度は油を用いた流体軸受けについてもマイクロパターン加工を施す効果についても検討することにしている.
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