研究分担者 |
中村 保 静岡大学, 工学部, 教授 (70023322)
早川 邦夫 静岡大学, 工学部, 准教授 (80283399)
中村 英雄 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (60172425)
本村 一朗 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (60272598)
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研究概要 |
本研究では,インクリメンタル成形技術に基づくデジタル歯科技工システムを提案しそれにより得られる補綴物の高精度化を検討した.上顎総義歯用の純チタン床を対象とする場合には,本システムでは,患部の石膏印象などのレーザ非接触形状計測などによりデジタル化した後に歯茎リリーフ部位などをモデリングし逐次成形プロセスを実行するために,従来のロストワックス鋳造法で必要であった各工程での型が不要となるとともに特殊な鋳造設備と技術が不要となる.純チタンの成形に問題となる焼付やかじりなどに対して,素板の陽極酸化被膜処理を提案し,表面粗さが最小となる最適工具送り量を示した.つづいて,インクリメンタル成形された製品がトリミング後にスプリングゴー状態にゆがむ現象を三次元の弾塑性有限要素解析により考察し,工具の素材表面の摺動により裏面側に引張り塑性ひずみが発生するために工具側に引張り,裏面側に圧縮の応力が残留することを明らかにした.この課題に対して,成形中のレーザ加熱の効果を,熱連成弾塑性有限要素解析により詳細を調べた.工具裏面をレーザ局所加熱しながら球頭工具を一定の押込み量でスライドさせることにより,素材の板厚方向の残留応力の勾配が低減することを確認した.次に,コンピュータで出力とON・OFFを制御できる100Wのファイバーレーザ光源を用いたレーザ・アシスト・インクリメンタル装置を製作して実験的検討を行った.一定の押し込み量で直線加工する場合において,加工部位のレーザ局所加熱により加工力は低下すること確認し諸条件が加工力に及ぼす影響を明らかにした.また,四角錐形状などの曲面成形を行う場合には,熱膨張による素板のゆがみが重大な課題となることを確認した.加工部位のみの局所加熱するためのレーザスポットの移動速度を数値解析により示すとともに,実験的には,ボルテックスクーラーを用いた周辺部位の冷却効果を検討した.
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