研究概要 |
本研究では,研究代表者らがこれまでに開発したゲル構造電気粘性流体(ERG)を金型研磨加工に応用することを考え,これを用いた小型レンズ用金型のナノ研磨加工装置を開発することを目的として,平成18年度より3年計画で研究が遂行されている.ERGは,これに電場を印加することにより,ゲル状パッド表面の構造が変化して,対向する固体面との摩擦特性が変化する新しい機能性材料である.本研究では,ERGに研磨砥粒を混入した新しい研磨材料を開発し,これを用いた研磨装置を開発し,小型レンズ用金型のナノ研磨加工プロセスの高能率化と自動化を実現することを目標としている. 本年度は,研究計画の初年度であり,研磨加工用ERGの開発とその基本特性の解析を行った.すなわち,研磨砥粒を含んだ最適なERGを製造するためには,ER粒子サイズとその混合濃度,ERGに含ませる砥粒の粒径とその混合濃度,ゲル構造の硬度,ERG研磨パッドの厚さなどに注目し,種々の条件のもとで研磨用ERGを試作し,その基本的な研磨特性の評価を行い,最適な研磨用ERGパッドの製造方法を明らかにした.具体的な研究成果は以下のとおりである. (1)研磨加工用ERGの試作:研磨加工に最適なERGの製造方法について検討を行った.まず各種の条件において研磨用ERGパッドを試作し,ゲル構造とER粒子ならびに砥粒の分散状況を観察した.その結果,研磨用ERGの製造方法を明らかにすることができた. (2)基本的な研磨作用の観察と評価:試作した研磨用ERGパッドの基本的な研磨特性を評価した.研磨面におけるER粒子と研磨砥粒の挙動を観察し,ER効果が研磨砥粒の挙動にどのような影響を与えるのかを実験的に解析した.また平面研磨実験を行い,ER効果が研磨後の仕上げ面性状に与える影響を解析した. (3)研磨加工装置の仕様決定と設計:研磨加工装置の仕様決定と設計を行った.
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