研究概要 |
本研究は,ゲル構造電気粘性流体(ERG)を金型研磨加工に応用することを考え,これを用いた小型レンズ用金型のナノ研磨加工装置を開発することを目的として,3年間の計画で実施された.ゲル構造電気粘性流体は,これに電場を印加することにより,ゲル状パッド表面の構造が変化して,対向する固体面との摩擦特性が変化する新しい機能性材料である. 最終年度にあたる平成20年度においては,以下の研究成果が得られた. (1)片側電極構造研磨パッドの試作:片側に陽極と陰極を交互に配置した片側構造電極を研磨工具に適用するために,その設計と研磨工具の試作を行った.研磨パッド用の片側構造電極については,平成19年度の研究において汎用有限要素法解析ソフト(ANSYS)を使用した電場解析によってすでにその基本設計を完了している.本年度は,片側電極構造のERG研磨工具を試作し,これを研磨加工装置に取り付けて,樹脂を対象とした研磨加工試験を行いその性能を評価した. (2)動的電場印加による研磨効率の向上:ERG研磨工具に動的電場を印加することによりERGに微小変位を生じさせ,同時に含有砥粒にも微小な運動を与えることで,相対運動の少ない研磨パッド中心付近での研磨効率を向上させることができると考え,その効果を実験的に解析した. (2)研究成果のとりまとめ:3年間にわたる研究の結果を総合し,研究成果としてとりまとめ,ゲル構造電気粘性流体を用いたナノ研磨法の適用方法と,その実用化に向けた指針を提示した.
|