研究概要 |
本研究は大規模大気流動の時空間流動構造を計測する光学的システムの開発を目的としている.平成18年度は,環境ネガティブインパクトの少ない気流用トレーサの開発検討を優先課題とし,シャボン玉をトレーサとする気流の定量的可視化方法の具体的性能を調査した.翼周りの流れにおける試験から対流加速度ならびに圧力勾配が大きな領域で偏差が拡大することが明らかとなった.しかし同時に偏差速度はマイクロバブルの並進運動方程式により逆解析的に補正することが可能であることが示された.これらの成果は日本機械学会北海道支部で講演発表された.またH19年8月に開催される日米流体工学合同会議のフルペーパー審査付き論文として採択された.次に気流PIV用のスモーク発生装置を開発し,スモークの波数スペクトルとPIV精度の因果関係を究明した.また強力なLCP光源を用いたカラーPIV法の導入によりテニスコートサイズの気流構造の3次元構造の計測を実現した.さらに300mの立体空間における花火のステレオPTV計測を実施し論文投稿を準備中である.これらは機械学会,可視化情報学会で講演発表された.一方,大規模気流空間において希薄なデータ密度で取得される3次元離散速度ベクトルデータを最も小さな誤差で補間・復元する時空間補間法を開発し,日本混相流学会で発表した.以上の技術は既に実用化のフェーズに入りつつあり,平成18年度後半には樹木・鉄骨構造を模擬した半透過性物体をモデルとし,その後流構造の特異性を計測した.この結果,半透過性物体の後流における乱流エネルギーは通常のソリッド物体よりも3倍以上下流で最大となることなど,大規模流動(高Re数乱流)の特徴を捕らえた.この成果についても日米流体工学合同会議の論文として既に採択されている.
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