研究概要 |
本課題は気流の空間的構造を定量計測するPIV(Particle Image Velocimetry)を技術開発するものである.平成18年度は,(1)環境無害の気流用トレーサ粒子の開発,(2)自然背景におけるトレーサの抽出試験,(3)ポストプロセッシングを含む気流PIVソフトウエアの開発を実施した.またそれらを活用した具体的な気流構造計測対象として,まず,人工トルネード発生装置の製作を行った.この試験の結果,トルネードのふれ回り運動と渦核での粒子集積軌跡,上部での粒子飛散構造を可視化した.次に人工ダウンバーストのカラーPIVによる計測を実施し,地表での逆ロール渦による衝撃的な高せん断力の発生を明らかにした.さらに,風洞実験により透過性物体の後流をPIV計測し,中実物体よりも大きな抗力の発生,後流カルマン渦の低周波数モード成長などについて明らかにした.これらはいずれも従来までの気流構造論を抜本的にくつがえす成果となっており,アメリカ機械学会などで発表した.さらに屋外の空中を300m規模スケールで飛翔する物体のステレオ画像計測,ならびにその自然背景からの移動体の高速検出システムを製作した.なお気流トレーサとして直径1mm〜20mmのソープバブルの追従性試験を実施し,実効密度が気流に近い大気泡のほうが逆解析による気流構造計測に適合することを明らかにした.以上の成果をふまえ最終年度はトルネード,ダウンバーストの時空間4次元構造を計測するとともに,その計測技術の応用としてウインドファーム周辺の気流構造の計測を実施する.
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