研究概要 |
本課題は気流の空間的構造を定量計測するPIV(Particle Image Velocimetry)を技術開発するものである. 平成20年度は, 前年度までの計測技術開発の成果を応用し, 予定どおり気流の3次元構造を特徴付けるトルネードおよびダウンバーストの計測を実施した. トルネードについては二つの吸い込み口のある場合のトルネード渦管の非定常揺動現象をレーザニ散乱法を組み合わせて解明し, その結果, いずれか一方の吸い込み口に渦管が振れ, かつ, 時間的にある一定の周期でスイッチングすることが明らかとなった. また2つの吸い込み口の距離を変えながら計測を実施した結果, 全体として楕円形状の断面をもつ渦管が発生し, 楕円のもつ2つの基点と吸い込み口が一致する場合に, 2つの渦管が捻れた形状で形成されることなどが分かった. さらに固体粒子をトルネードまわりに分散した場合の粒子吸引挙動などを計測した. ダウンバーストについては壁面に衝突する際に誘発される渦輪の二次渦の存在を明らかにした. この計測ではカラ-トモグラフィックPIV法を独自開発し, 単視点で気流の時空間構造を捕らえる最適な例としてPIVの開発成果のデモンストレーションを実施することに成功した. とくに砂床に形成される周方向の筋状の模様と渦度・発散のパターンが一致することが判明した. さらに前年度までの成果である直径200mの花火発光粒子の3次元ステレオPTV計測, 屋外の500m規模で飛翔する鳥の3次元ステレオ計測について機械学会論文集およびJ. Visualizationに論文が掲載された. このほかマイクロバブルによる気流トレーサ性能について調査を完了した. 以上をもって気流の時空間流動場を光学的に捕らえる計測技術の開発とその応用は成功裏に終えることが出来た.
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