研究課題/領域番号 |
18360092
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
水沼 博 首都大学東京, 大学院・理工学研究科, 教授 (20117724)
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研究分担者 |
田川 憲男 首都大学東京, 大学院・システムデザイン研究科, 教授 (00244418)
大越 ひろ 日本女子大学, 家政学部, 教授 (80060698)
神山 かおる 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所・食品機能部, 研究室長 (00353938)
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キーワード | 流体 / 生物・生体工学 / 医療・福祉 / 食品 / シミュレーション工学 |
研究概要 |
(1)咀嚼・嚥下の連成解析:人の舌から咽喉、食道にいたる各部の弾性変形と食塊の流動を連成解析した。本年度は特に食塊として液状食塊を中心にALE法による有限要素解析を行った。計算対象として健常者の場合と、加齢による機能変化の典型的な例として、食塊が気道にはいるのを防ぐ喉頭蓋の動きが早く終了してしまう場合と開始が遅い場合についてシミュレーションを行った。それらの結果は、計算対象とした病院で撮影されたX線ビデオの嚥下の様子とほぼ一致し、シミュレーションの有効性を検証することができた。このことは、次のステップとして、障害者にとって安全な食品の粘性特性を調べる手段として、開発した解析手法が有効であることを示す点で意義がある。 (2)固形食品の圧縮による破断を含むシミュレーション:豆腐のような柔らかい食品とビスケットのようなやや硬いがもろい食品を、それぞれALEモデルとタイブレークモデルによりモデル化した。また、層状に2層、3層と積層した食品、あるいは饅頭のように外側を内側と異なる食品で包んだ食品に対してもタイブレークモデルによりモデル化し、シミュレーションを行った。シミュレーションの結果は実際の食品に対するくさび形プランジャーによる圧縮試験と破断条件及び測定反力について比較され、良い一致が得られた。これらのシミュレーション手法は次のステップとして歯による食品の咀嚼に発展させる計画であり、そのための基礎として有意義な成果が得られた。 (3)X線造影撮影と流動解析の融合:X線造影撮影の動画像から食塊の輪郭形状を構築し、食塊の形状を時系列的に捉える研究を前年度から継続して実施した。嚥下過程における食品内部の運動学的条件を定量化するため、輪郭形状の変化に基づいて食塊内部の流動解析を行い、その内部の変形速度テンソルの2次不変量を定量化の基準とする方法について検討を進めた。
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