研究概要 |
まず始めに,予備実験に用いた平行石英円板による二次元流路装置の改良を行った。石英円板に正方向の温度勾配を与える多孔質平面火炎バーナ内に整流筒を設け,温度勾配の軸対称性誤差の低減を図った。予備実験に使用したバーナでは温度の対称性が崩れていたが,改良によって十分な対称性を得ることができた。 チャネル内燃焼では安定・不安定範囲が存在するので,まず燃焼安定性の全体像を把握するために,実験パラメータとして混合気の流量,チャネル幅,供給当量比を変えて実験を行うこととした。パターンの分類およびパターンの回転速度に着目し実験を開始したところ,観察されるパターンは予想をはるかに上画る種類があることが明らかとなった。すなわち予備実験で観察されたペルトン水車状火炎,スパイラル火炎,三分岐火炎に加え,半円状の火炎,半径が不規則に変化する不安定なリング状火炎,並状の箇所が連続してつながるリング状になる火炎,また二重円の火炎などである。また,上記パラメータに対するパターンの出現傾向も非常に複雑であり,全体的な傾向を判断するのは非常に困難であることがわかった。したがってその外観からある程度構造の想像が容易なスパイラル火炎に着目し,まずは形成メカニズムの検討を行う解析に着手した。燃料の希薄側と過濃側では傾向が比較的大きく異なることから,希薄側一条件,過濃側一条件を抽出し,パターン形成の傾向把握に努めた。観察されたパターンのうち,燃焼効率が低下していると思われる場合については,排気特性を確認するなど,将来の実用に備えた特性を把握できた点は自己評価できる。なお当初の計画ではパターン形成時の流れの影響を確認するため,火炎観察と同時にPTV法による流れ場の計測も行う予定であったが,予想を越えるパターン数の出現によって遅れを招き,初年度は実行できなかった。しかしながらパルス変調器を始め,光学実験に必要な機器の製作はほぼ終了し,流れ場の計測の準備は整っている。
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