研究概要 |
1.近赤外光周波数分光法と紫外吸光法の計測を同時・同条件で行う反応解析装置により、メトキシメチル(CH_3OCH_2)およびシクロヘキシル(c-C_6H_5)それぞれの酸素分子との、室温から700Kまでの反応経路について解析を行った。近赤外光周波数分光法は、可変波長ダイオードレーザを光源とし、対向凹面鏡間距離1.5mのヘリオット式多重反射吸収工学系を組み、またEOM素子を用いた600MHzと2.6MHzの二重変調の発生と復調回路を組んで、微弱吸収の高速・高感度検出を可能にしたものである。本方法ではHO_2,OH,H_2O_2,HCOOHといった分子・ラジカルの検出・計測を行った。紫外吸収は、重水素ランプを光源とし、同ヘリオットセルに単一パスで近赤外光路と非干渉で観測領域は同一になるようにその光路を配置した。本方法では各種アルキルラジカルおよびアルキル過酸化物ラジカルの検出が可能である。反応開始はパルスYAGレーザまたはエキシマーレーザによる閃光分解法を用いている。CH_3OCH_2+O_2では酸素付加を経て熱分解生成物としてOHを含むものが主であり、低圧では付加安定化を経ない準直接のOH生成もかなりあることが確認され、一方c-C_6H_5+O_2ではC_2H_5等と同様の、付加中間体がHO2を生成する経路が主と判明した。 2.すす微粒子成長過程を検討する手段として、レーザラマン分光法を応用した。ディーゼル排気をELPI(Electrical Low Pressure Impactor)を用いて粒径選別し、粒径群ごとにラマンスペクトルを得ることにより、グラファイト化の進行を検討した。10-500nmの範囲で、粒径が大きくなると共にグラファイト化が進む結果が得られた。エンジン回転数が低いほど結晶度は高く、アニーリング効果と考えられる。
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