研究概要 |
局所的に光エネルギを集中させると,分子が原子になり,さらにイオン化されプラズマ状態になる.プラズマ中のラジカル類が着火源となり,可燃混合気であれば燃焼反応へと移行する.そこで,本研究では,(1)レーザ着火システムのバーナを用いた予混合気体において,レーザ誘起プラズマの形状,自発光スペクトル,ブレイクダウン閾値エネルギ,火炎核成長の様子と火炎核による自発光スペクトル,最小着火エネルギといった着火特性を調査した.(2)定容容器を用いて雰囲気圧力を変化させ,フレーミングICCDカメラによる直接撮影と,カセグレン光学系と分光器を組み合わせた局所分光計測を行うことで,高圧下におけるレーザ誘起プラズマの生成の様子を時系列的に観察した.(3)nsオーダでのブレイクダウン領域の膨張および衝撃波生成過程,μsオーダでの衝撃波の伝播,Hot kernelの成長過程について,そのメカニズムを調査した.さらに,(4)レーザ誘起ブレイクダウン分光法(LIBS法)を層流予混合火炎,エンジンからの排気ガスへ適用した.これらより,以下のことが分かった.(1)レーザ着火はレーザ照射後nsオーダでプラズマが生成し,数μsで火炎核が生成される.(2)レーザ誘起ブレイクダウンは雰囲気圧力に対して強く依存し,高圧下ではプラズマの生成に必要なエネルギは減少することが判明した.(3)レーザ照射後数nsにおける衝撃波およびHot kernelの形状は,プラズマ発光の形状に沿った楕円形であり,その後数μs程度経過すると衝撃波は球状へ,Hot kernelは渦輪を形成し,レーザ照射方向に成長することが分かった.(4)エンジン排ガスでのLIBS計測により,発光強度比から設定空燃比を計測することが可能であることが分かった.
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