研究概要 |
1.クラッチ機能内蔵超音波モータの検討 ドラム型のロータに外側から予圧して駆動する超音波モータの検討を行った.積層圧電アクチュエータ(MPA)と変位拡大機構により電気的に調整可能な予圧機構を考案した.更に,その機構内に超音波振動する部分を設け,予圧機構と超音波モータが一体になった新型超音波アクチュエータを発明した.静的に大変位の発生が可能であり,予圧を電気的にゼロまで変化できるクラッチ機構を内蔵した構造を有する. 有限要素法解析により,形状を設計し,試作および測定を行った結果,高速なクラッチ動作が確認された.更に,変位拡大機構内に設けた超音波モータによるロータの回転を確認した.しかし,使用した2つの振動モードの共振周波数の調整が難しかったことから,モータとしての動作には更に調整が必要である.今後,共振モードの周波数の調整を更に行い動作特性の向上を図る予定である.また,急激な予圧変化を与えると変位拡大機構に残留振動が生じるため,駆動波形の検討も行う. 2.圧電ブレーキの検討 小さな接触力でも自己倍力作用によって大きなブレーキトルクが望めるドラムブレーキの検討を行った。1つのMPAと弾性ヒンジと剛体梁を用いた変位拡大機構からなるブレーキアクチュエータ(BA)と回転ドラムを接触させて,ブレーキトルクを発生する構成である。予圧による引っ張り力に耐えられるMPAを用いたネガティブ・ドラム型圧電ブレーキを有限要素法解析により設計を行い試作した。 実験の結果、変位拡大機構は計算どおりに動作し、高速応答性に優れていたが残留振動が大きく摩擦力の変動が大きかった。更にブレーキトルクは僅かにしか変化せず,むらも大きかった。BAの変位が摩擦力の変化に有効に使われていないことが原因と考えられる.今後,工作精度,組立精度を向上させるため,形状を小さくして再検討する.
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