本年度は、ネットワーク分散制御の理論構築関する研究成果を得た。 ネットワークセンシングは複数のビジョンシステム(カメラ)から構成される。これらのビジョンシステムは、通常、その特性が異なる。また、ネットワークを伝わる情報量は有限であるため、多数のセンサから構成されるネットワーク制御系では常にすべてのセンサ情報をリアルタイムに取得可能とは限らない。そのため、情報量拘束の下で推定性能・制御性能を最適にするためのセンサ選択アルゴリズムが必要となる。特に、空間分解能や誤差特性など個々のセンサの持つ情報量や通信時間遅れを考慮したセンサ選択手法(センサスケジューリング手法)が求められている。 これらの要求を考慮し、本年度は、異種センサ群から構成されるネットワークセンサシステムに対する高速センサスケジューリング手法を提案した。提案手法では、ネットワークセンサシステムは異種センサ群から構築される一方でそのセンサ種類数は限られていることに着目し、センサ種類の定式化を行っている。センサスケジューリング問題はモデル予測制御問題として定式化されているため、各時刻でセンサスケジューリング問題を解く必要があるが、センサ種類の概念を導入したことで高速に問題を解くことができるようになった。特に全探索手法ではセンサ数に対して指数的に計算量が増加するが、提案手法ではセンサ種類数に対する指数関数で計算量が抑えられる。この高速センサスケジューリングアルゴリズムを用いることで、多数のセンサから構成されるネットワーク制御系の効率的な運用が期待できる。
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