研究概要 |
1.製鉄機械ホットレベラにあるワークロールの多角形摩耗を完全に防止する基礎実験として,一対の金属製ロールが回転接触する1自由度実験装置を用いて,動吸振器を搭載して多角形摩耗の遅延対策を行った.ロール間の接触剛性が高いため,完全にはパターン形成を防止することはできないが,動吸振器によって以下のような効果があることが判明した. (1)動吸振器の固有振動数を,系の固有振動数よりもわずかに低くチューニングすること. (2)動吸振器の減衰には,最適減衰があり,主系と動吸振器の質量比が5%であれば,最適減衰費は0.12-0.13にあること. (3)固有振動数のチューニングおよび最適減衰を有する動吸振器を用いると,動吸振器がないときよりもパターン形成の成長速度が,1/3程度に軽減される. ただし,実機のホットレベラでは,プレートとロール間の剛性が低くなるので,動吸振器によって完全にパターン形成を防止することができる. 2.フイルム等の巻き取り過程におけるパターン形成再現実験を行い,巻き取り過程でフイルムがパターン形成を生じたり,生じなくなったり,また,異なる振動数でパターンを発生する,すなわち,フイルム層が異なる角形数の粘弾性変形を生じる原因を実験と解析によって解明した.また,この系に動吸振器を搭載したときの効果を解析で明らかにし,動吸振器とダンパ搭載のパターン形成への効果の比較を行った. 3.深穴加工であるBTAに生じる穴内部のライフリングマークの発生メカニズムを解明するため,実験装置を作成して実験を行った.実験装置が何とか稼働できるようになった段階であり,BTAドリルによるパターン形成の発生はまだ確認されていない.BTA加工に関する解析を行い,時間遅れを有する安定性解析を行う準備が整った.
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