研究概要 |
ロボットの動特性を有効に利用した2脚動歩行の歩容生成および高性能化に関して,理論と実験の両面から研究を推進した.まず,歩行性能を劇的に向上させる身体要素として知られていた半円形状をした足部(半円足)について,数学モデルに基づくメカニズムの理論的解明,および数値シミュレーションによるその特性解析を行った.具体的には,片脚支持期に仮想的な足首関節トルクとして重心を推進するように作用すること,支持脚交換の衝突時にはその衝撃を吸収しエネルギー損失を抑制する効果を持つこと,を数学的に証明し,その妥当性を数値的に確認した.パラメータ励振原理に基づく2脚動歩行については,理論と実験の両面から引き続き研究を推進した.まず実験においては,脚伸縮機構を持つ2脚ロボットを完成させ,その要素の改良や制御パラメータの調節を行うことで,安定な平地動歩行の実現を成功させた.性能評価の検討については今後の課題であるが,斬新なアプローチによる世界初の2脚動歩行の実現として高い評価を得た.理論面では,膝関節駆動によるパラメータ励振効果の確認,およびその効果を利用した平地動歩行の実現について検証した.遊脚の重心位置の上下動に基づくアプローチをはじめとして,ロボット全体の重心位置の上下動や鳥脚歩行など複数のアプローチを考案し,その性能比較を通して最適性の考察を行った.また一方で,動歩行運動における力学的エネルギー平衡の観点から,平衡点を一意に決定するための必要条件を明らかにし,その原理に基づく漸近安定歩容生成手法を提案した.更には,ロボットの自然な動特性を損なうことなく上体を付加するための手段として股関節二分機構の利用を考え,その試作器の設計開発を行った.そして,これを伴った2脚歩行システムの力学的特性を明らかにした上で,仮想受動歩行に基づく高効率な平地動歩行を実現した.
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