研究概要 |
本研究は,屋外を移動する作業自律移動機械の測位手法を確立し,屋外における自律移動機械のナビゲーションに資することを目的としている.本年度は,移動機械に搭載した全地球測位システム(GPS)装置から得られる測位情報と同じく移動機械に搭載した駆動車輪回転数の累積による測位情報(オドメトリ),およびIMUなどにより得られる車体の回転情報をそれぞれ取得する実験を林道で行った.この測位実験では,前年度に定式化したIMUとオドメトリを組み合わせたデッドレコニングによる3次元的な測位を行い,この累積誤差をGPSで修正することを試みた.実験を行った林道環境(筑波山周辺)では,GPS装置による測位を行える場所が,当初の想定よりはるかに少ないことが判明した.したがって,デッドレコニングの累積誤差を修正するのに,GPSのみでは不足であることが結論された.そこで,移動体(自動車)上に斜め下向きに走査型レーザ距離計を取り付け,レーザ距離計からの測距情報を処理して道路の路肩を検出し,そこから道路中央線位置を推定した.一方,国土地理院発行のデジタル地図から実験に使用した道路の中央線位置情報を抽出し,デッドレコニングによるおおよその位置から地図上の中央線位置をもとめ,センサから得られた中央線位置との誤差からデッドレコニングの累積誤差を最尤推定の枠組みを用いて修正することを試みた.この手法によれば,林道環境を13km走って走行開始地点に戻ってきたときの位置誤差は,標準偏差にして1.5m程度に収められることがわかった.
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