研究概要 |
本研究では,3次元環境内における作業移動を行うに適したリム,並びにロボットの機構を解析し,ハードウェアを設計試作するとともに,3次元環境の作業移動アルゴリズムを開発し,模擬環境における実験によりを評価する.まず,移動に関連する研究として,「脚車輪ハイブリッド動作による段差踏破」と「リムの接触情報を利用した狭隘部の移動」,「格子壁面の移動」に関する手法を提案した.「脚車輪ハイブリッド動作を利用した不整地移動」では,脚車輪の特徴である車輪走行と歩行をセンサフィードバックで適時切り替えることで不整地の移動を行うと共に,等方向に配置されたリムのデザインから実現される全方向への均等な不整地の移動能力を示した.「リムの接触情報を利用した狭隘部の移動」では,等方向へ伸びたリムの環境への接触情報を利用し,レスキュー現場や住宅の天井裏・床下などの狭隘部を移動する際に要求される環境適応型の歩行修正手法を実現した.「格子壁面の移動」では,環境側に格子状の環境を取り付けることでロボットが移動可能となる領域を拡大するコンセプトを元に様々な状況で歩容を実現するための手法を開発した.次に,作業と移動を同時に実現する手法として,「腕脚統合動作による転がし動作」を開発した.小型のロボットの欠点としてあげられる作業能力の低さを全身の動作を利用した転がし動作により重量物を運搬するための手法について提案し,環境との摩擦,ロボットが力を加えるときに発生する内力について解析を行うことで効率の良い転がし動作を実現した.また,腕脚統合ロボットの実応用を考えた実験を行うために,環境のマッピングと位置同定の課題(SLAM)である「高解像度NDTグリッドマップ」の生成手法についての提案と最終実験として建物内の「センサネットワークと移動ロボットによる協調モニタリング」手法を提案し,天井裏の水漏れ点検に腕脚統合ロボットを適用した実例を示した.
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