研究概要 |
本年度はテラヘルツ波を用いたイメージング技術の構築に重点を置いた。イメージング装置は,TUNNETT発振素子,パルス電源,SBD検出器,ロックインアンプ,X-Zステージおよびコンピュータで構成されており,X-Zステージに取り付けられた試料を走査することでTHz波イメージを作成する。なお,SBD検出器の配置を換えることで透過像と反射像を得ることができる。本装置を用いて,生体組織および各種絶縁材料試料へのテラヘルツ波の入射角度の影響,アパーチャー,試料およびSBDの相対距離が透過・反射波に及ぼす影響を実験的に調べることで,試料をイメージングするために最適な計測条件を明らかにした。さらに,THz波の波長より短い1.5mm以下の小さな物体を識別できるように,イメージング装置の空間分解能の改良に取り組んだ。その結果,SBDの前段に近接場効果を利用した近接場プローブを導入することで空間分解能を向上できることを実験的に明らかにし,0.5mm以下の物体まで識別できることを確認した。また,今年度の予算で導入したX線顕微鏡により,絶縁劣化現象であるイオンマイグレーションで発生するデンドライトの発生量を透過X線の減衰量から実時間で測定する技術を構築し,THz波によるイメージングの妥当性を検証・評価するための参照データを収集した。一方,固体だけでなく液体のTHz吸収量を定量的に計測するために,超薄型ガラスセルを利用した計測技術を構築した。これにより,数的の溶液でも,そのアルコール濃度を識別できることを確認した。
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