研究概要 |
平成19年度は,前年度に引き続き絶縁材料のイメージングのための基盤技術を構築した。THz波イメージング装置の発信器であるTUNNETTは,出力変動が1%以下で連続発振可能と出力安定性が大きなメリットである。そのため,他のレーザを使ったTHzイメージング装置と異なり,オープンループでの使用が可能であり,イメージング装置全体の小型化に貢献している。しかし,本研究でターゲットとした微小な金属,水酸化物および水分を検出するとなると,イメージングシステムのS/N比をさらに向上させる必要があると考えた。また,本装置ではTHz透過イメージングと反射イメージングでは装置の構成が異なるため,同時に実施することはできていなかった。そこで,平成19年度はSBD検出器およびLock in Amplifierをそれぞれ1台増設し,入射するTHz波の強度をモニタすることで透過光と反射光の同時取得を可能にし,装置の構成を変えることなくTHz透過・反射同時イメージング装置への改良を実施した。これにより,X線顕微鏡では検出できないフレキシブル基板間に発生させたデンドライトの反射・透過画像を取得することが可能となった。一方,計測感度の向上を目指し,入力信号をリファレンス信号としてサンプルの透過光を規格化しようとしたところ,入力信号には情報が乗っており,この実験系では引き込み現象が発生していることを発見した。イメージング装置の空間分解能向上の試みとして,SBDに装着する指向性の高いアンテナを開発し,実験により空間分解能が向上することを実証した。
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