研究課題
基盤研究(B)
電気二重層キャパシタ(EDLC)は、二次電池に比べて内部抵抗が低く、化学反応を伴わないため、大電流での充放電効率の改善や大幅な充電時間の短縮が可能である。本研究では、EDLCを駆動源とする小型電気自動車C-COMS2を製作し、実車による走行実験を通じて、EDLC駆動電気自動車の効率のよさを明らかにした。また駆動モータをDDモータに取替え高性能制御を可能とし、走行実験によってEDLCと二次電池を比較することで、EDLCが車両運動制御上でも有用性を持つことを検証したものである。以下やや具体的に述べる。本研究の目的は、(1)電気自動車ならではの運動制御の可能性を、今回製作するキャパシタ駆動の超小型電気自動車を用いて、より原理原則的な側面をほり下げること、(2)キャパシタを搭載する小型電気自動車そのものの将来性に対する知見を得ること、である。電気自動車は従来のガソリン車にはない、(1)トルクの応答速度が非常に速い、(2)出力トルクを正確に把握することができる、(3)モータは小型化が可能であり各輪に分散配置できる、という3つの優れた特長をもっている。これを実証するために、小型の電気自動車によって、大きな電気自動車ではパワー不足であったり、危なくてできない実験、たとえば、タイヤの非線形領域まで踏み込んだ粘着制御、鋭いコーナリング性能の実現を行い信頼性の高いデータを収集することができた。キャパシタには、(1)寿命が長い(化学変化を伴わないので寿命は半永久的)、(2)大電流での充放電が可能、(3)重金属を用いないため環境にやさしい、(4)端子電圧から残存容量が正確にわかる、といった特長があり、キャパシタだけで駆動される電気自動車を製作して、その将来性について考察を行った。まず、キャパシタを小型電気自動車に搭載し、手軽な実験が行える実験車両を製作した。種車はトヨタ車体の一人乗り小型電気自動車コムスである。原車は鉛電池駆動であるので、制御用以外の電池は全部とりはずし、後輪2輪を独立駆動するインホイルモータは非常に高性能で十分使用に耐えるのでそのまま用いるが、電源電圧が大きく変動するため、インバータ30Vから100Vまでの範囲で動作するように設計変更を行い、またトルク指令が上位系から与えられるように工夫している。車両には諸種のセンサ類を搭載し、制御効果を確認しながら下記のような実験を行い、成果を得ることができた。すなわち、(1)車体すべり角βのタイヤの非線形預域での推定と制御、(2)ヨーモーメントオブザーバを用いた車両特性のノミナル化によるDYC制御、(3)非線形領域でのμ勾配の推定。(4)ドライバの意図を読みスムースな加減速を実現する速度パターンのリアルタイム生成、(5)横力の推定を用いた動的制駆動力配分制御、(6)疑モデル追従制御によるトラクション制御、(7)逆起電力オブザーバによるスリップ抑制制御、(8)油圧と電気によるハイブリッドABS、TCS、(9)他励直流機トルク垂下特性をまねる粘着制御、(10)ドライバ特性を考慮したドライバ支援技術、などである。
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生産研究(生産技術研究所) 59
ページ: 504-509
WEVA (World Electric Vehicle Association ) Journal 1(CDROM)
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WEVA Journal
Asian Journal of Control Vol.18, No.3
ページ: 261-267