研究概要 |
本研究のトランスレス・ハイブリッドフィルタは,7次同調パッシブフィルタとアクティブフィルタを直列に接続し,変圧器を使用することなく6.6kV系統に直結できる点に大きな特長がある。アクティブフィルタの主回路には中性点クランプ3レベルPWMコンバータに採用し、そのパワー半導体デバイスは,耐圧1,200Vの第五世代トレンチゲートIGBTを使用できる。アクティブフィルタの直流電圧最大値は1,300Vである。PWMキャリア周波数は10kHzとした。6.6kV系統に直結できるハイブリッドフィルタを大学で実験するのは不可能である。そこで前年度は、三相400V 15kWのミニモデルを設計・製作し、電源高調波電流の抑制効果を実験検証した。その結果、良好な補償特性が得られることを確認した。これらの研究成果をまとめた論文(7ページ)は、電気学会論文誌(2007年11月号)に掲載された。 本年度は、前年度に提案した6次零相電圧を交流電圧指令値に重畳する中性点電位制御の理論近似解析を行なった。この近似解析手法は、アクティブフィルタが出力する主要高調波電圧(5次成分)とハイブリッドフィルタに流入する基本波電流に着目することによって、世界で初めてハイブリッドフィルタに使用したアクティブフィルタ(中性点クランプ3レベルPWMコンバータ)の直流コンデンサに流入・流出する直流電流平均値の解析に成功した。さらに、前年度に設計・製作したミニモデルを用いた実験とコンピュータシミュレーションを用いて、理論近似解析の有効性・妥当性を検証した。この解析結果を中性点電位制御系の設計に活用し、汎用的な設計手法を確立した。これらの研究成果をまとめた論文(刷上8ページ)を電気学会論文誌に投稿し、現在査読中である。
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