研究概要 |
近年半導体スイッチによる小容量から大容量までのシームレスな電力変換技術の確立が望まれており,電力用半導体デバイスに対する高速化,高耐電圧化,大容量化の一層の要求が高まっている.しかしながら,回路及び機器において,Siベースのパワー素子の物理限界から回路および制御手法が複雑化し,要求に合致した特性を持だすことが困難となっている.そのような中でワイドギャップ半導体であるSiCデバイスが期待されているが,SiCパワーデバイスは漸くSBDの商品化が実現したのみで,能動素子の開発,モデリングおよび実装に関する技術は確立していない.SiCパワーデバイスの高速スイッチング特性を生かす回路設計は,そのパワー配線および大電流のスイッチングによって発生する電磁放射(EMI)の問題,熱伝導の問題を無視して行うことができない. 本研究は,SiCパワーデバイスのモデリングおよび回路実装,さらにEMIの制御とEMCを考慮した回路設計・実装技術の蓄積に基づき,SiCパワーデバイスの回路実装と集積化およびその可能性を検討することを目的とする.同時に,SiCパワーデバイスとその制御系のSoI技術を確立し,少容量から大容量までの電気エネルギーの変換技術を回路理論に則って確立し,実装技術の技術的検証を行う必要がある. 2006年度は,この観点から,特にSiCパワーデバイスの開発とデバイスのモデリングおよび回路実装に関して集中的に検討した.さらにそれらを回路実装した際に重要となる,EMCの解析技術についてまとめている.特に本年度は研究開始年度であるため,分担者ここの研究の成果を高め,それぞれの研究の中でEMCを考慮した研究課題を抽出することにも重点を置いた.さらにSiCパワーデバイスの集積化に向けて,電子回路およびパワー回路の中におけるエネルギーおよびパワーの再定義についても集中的に検討した.以上の研究の結果,2007年度の研究推進の準備ができた.
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