研究概要 |
近年半導体スイッチによる小容量から大容量までのシームレスな電力変換技術の確立が望まれており,電力用半導体デバイスに対する高速化,高耐電圧化,大容量化の一層の要求が高まっている.しかしながら,回路及び機器において,Siベースのパワー素子の物理限界から回路および制御手法が複雑化し,要求に合致した特性を持だすことが困難となっている.そのような中でワイドギャップ半導体であるSiCデバイスが期待されているが,SiCパワーデバイスは漸くSBDの商品化が実現したのみで,能動素子の開発,モデリングおよび実装に関する技術は確立していない.SiCパワーデバイスの高速スイッチング特性を生かす回路設計は,そのパワー配線および大電流のスイッチングによって発生する電磁放射(EMI)の問題,熱伝導の問題を無視して行うことができない. 本研究は,SiCパワーデバイスのモデリングおよび回路実装,さらにEMIの制御とEMCを考慮した回路設計・実装技術の蓄積に基づき,SiCパワーデバイスの回路実装と集積化およびその可能性を検討することを目的とする.同時に,SiCパワーデバイスとその制御系のSoI技術を確立し,少容量から大容量までの電気エネルギーの変換技術を回路理論に則って確立し,実装技術の技術的検証を行う必要がある. 2008年度は(1)SiCパワーデバイスの静特性,動特性検討のための計測システムの確立,(2)SiC能動素子Pspiceモデルの確立,(3)電力変換回路へのSiCパワーデバイスの実装と高速スイッチング法の確立,(4)SiCパワーデバイスのパッケージ化とパワー配線の設計およびそのEMC特性の検証と利用,(5)SiCパワーデバイスを含む回路への共振型変換技術の適用の検討について集中的に検討をすすめた.その結果,それぞれの技術的問題を明らかにし,特に数MHzオーダーの高速パワースイッチングを達成できるゲートドライブ回路を開発すると同時に共振型変換器を製作してその高周波での可能性を示した.
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